2019年3月30日土曜日

国は、3月25日、辺野古の海、新たなエリアの土砂投入に踏み切った。




 沖縄県で、県民投票が実現した。結果が示されたのは、2月24日だった。*₁
県民投票が実現するためには、沖縄県の若者の奮起があった。きっと彼らの活動には沢山の人が勇気を与えられたに違いない。
 県民投票は、沖縄県民の意志を示すことを目的として行われた。沖縄県のホームページをみてみると、「県民投票Q&A」では、「…。通常の選挙のように特定の候補者に投票するものではなく、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を示すことを目的としています。」と説明されている。
 

 沖縄県辺野古の海は、とても美しい海であるそうだ。この海が美しい海であることの象徴の一つとして、ジュゴンの存在が語られている。サンゴ礁が拡がる海である。豊かな海であるから、多様な生物が豊かな生態系を築いている。それを可能とする海だ。
 沖縄県の海で、ジュゴンが死んでいたのが発見され報じられている。これまで、沖縄防衛局がジュゴンの調査をして、3頭の個体を確認していた。死んだのは、そのうちの1頭で、メスの個体とみられている。ジュゴンの死を嘆いた人の多かったことだろう。この海を象徴する存在だったからだ。

 心ある人は、この凶報をどのように受けとめたのだろうか。
 この凶報からの悲しみが癒えぬまま、325日に辺野古の海、さらなるエリアに、土砂が投入された。以前から計画していた通りに始めた。県民投票があろうとなかろうと、どんな結果が示されようと、当初計画を立てた通りに、ただ、それを実行しているかのような振る舞いだ。
 今、世界中の人々を悲しめる事件が生じようが、生じまいが、国は、まるでそんなことにはお構いなしに振る舞っているかのような所業だ。

 224日、沖縄の県民投票の結果を受け、沖縄県知事は、県民投票の結果を日本の内閣総理大臣とアメリカの大統領に通知することになっている(辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例)。玉城沖縄県知事は、安倍総理に、工事の中止を求めている。対話による解決を求めている。安倍総理は、以前に沖縄県民に寄り添うといっている。このような所業が県民に寄り添っているといえるのだろうか。

 安倍総理は、沖縄の県民投票の結果について、225日に総理大臣官邸での会見で話している。「沖縄に米軍基地が集中している。この現状は到底容認できません。沖縄の負担軽減は政府の大きな責任であります。今回の県民投票の結果を真摯に受け止め、これからも基地負担軽減に向けて全力で取り組んでまいります(安倍総理)」。安倍総理は、沖縄の県民投票の結果を受けて、このように話している。



 近在天皇が退位し、皇太子が即位して天皇になる。テレビをつければ、新元号を話題にしている。新元号は、41日に発表される。51日から、平成ではなく、新元号の時代となる。新元号はどんな元号となるのかは、今はわからない。そういう時に、なんと心ない所業なのだろうか。
 平成がどういった時代だったのか語られることが多い。私は、平成は思ったより長かったと感じている。当然、平成が短い時代になることを望んでいたわけではない。昭和の天皇が崩御して、平成の時代が始まった。天皇が死去することで退位するのではなく、生前に退位できることとした平成の時代だ。明治は45年。大正は15年。昭和は64年。平成は31年(*₂)。時代の最後の年に改元が行われ新しい元号の時代となっている。昭和天皇は昭和64年(1989年)17日崩御した。17日に改元している。


 国、安倍総理は、この声をまるで裏切るかのように、土砂投入に踏み切ってしまった。本当に、県民投票の結果を真摯に受け止めたというのだろうか。この悲劇の結末は、結末に何かを求めようというのだろうか。一抹の不安として、指摘する者がいなければなるまい。私は、ジュゴンが死んで見つかったことが報じられ、感じるのである。天皇が退位し、皇太子が天皇に即位し、新しい時代を迎える。この時に、この凶報以外に、悲劇はいらぬ。そして、他にも出来ることがあったはずだ。こう思うのである。

 安倍総理は、玉城沖縄県知事は、国民に県民に対しての責任を果たしているといえるのだろうか。
 私たちは、新しい時代に一体何を引き寄せていこうというのであろうか。新しい元号の時代は、どのような時代となるのだろう。


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〈参考〉

野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票Q&Aについて(沖縄県ホームページ)

辺野古県民投票を考える会(twitter

【公式】「辺野古」県民投票の会(twitter

元山仁士郎(twitter


「沖縄県民投票の結果についての会見」(安倍内閣総理大臣)(2019/02/25)

Tamaki & Motoyama: Referendum on the relocation of the US Marine Corps Air Station Futenma to Henoko」( 日本外国特派員協会)(2019/03/01)


「「民意無視」沖縄は反発」(共同通信)(2019/03/25)

「<社説>新たに土砂投入 民意尊重し工事中止せよ」(琉球新報)(2019/03/26)

「社説[辺野古新区域に土砂]「民意」は埋められない」(沖縄タイムス)(2019/03/26)


「沖縄に絶滅危惧ジュゴンの死骸 今帰仁村の沖合で漂流」(琉球新報)(2019/03/19)

「3頭しかいないジュゴンの1頭が死んだ 残る2頭は辺野古の海上工事着工後、行方不明」(琉球新報)(2019/03/20)

「【識者の見方】ジュゴン死骸発見 保護策を見直す契機に(ジュゴン保護キャンペーンセンター・吉川秀樹さん)」(琉球新報)(2019/03/20)

「安倍首相「沖縄基地問題でしっかりと責任を果たす」」(産経新聞)(2019/03/05



「天皇陛下のおことば 」「天皇陛下御在位三十年記念式典 平成31224日(日)(国立劇場) 」(宮内庁)

「【図解・社会】天皇陛下の退位、皇太子さまの即位に関する流れ(20183月)」(時事通信)

新元号考案、14日に委嘱=安倍首相が最終判断、発表まで1週間」(時事通信)(2019/03/24)

「新元号原案、決定当日絞り込み=菅長官が有識者提示直前に」(時事通信)(2019/03/25)



〈私が書いたもの〉
「沖縄県辺野古の海への土砂投入に批判が集まっている。このことについてのNHK日曜討論で安倍総理の発言が注目されたことに関して」(2019/01/20)



〈私のつぶやき@kfrtofe〉(twitter)

https://twitter.com/KfrTofe/status/1099700621593042944
「県民投票をして、その結果が示されたことは、どちらの立場の人にもよかったんじゃないかなって思います。」(2019/02/25)

https://twitter.com/KfrTofe/status/1099701915607216129
「県民投票の結果も出たし、とりあえず一度工事を止めて、見直すべきは見直して、仕切り直したらどうだろうかと思います。」(2019/02/25)



*₁
2019年2月24日、沖縄県で、「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対する賛否についての県民による投票」が行われた。
投票率は、52.48%。
米軍基地建設のための埋め立てに反対は、71.7%。賛成は、18.9%。
県民投票の結果は、7割以上の県民が、辺野古の米軍基地建設のための埋め立てに、反対すると示さ2れた。
(2019年3月31日加筆)

*₂
平成は31年と訂正しました。
(2019年8月23日 訂正)

〈参考〉
「県民投票の結果」(沖縄県)
https://www.pref.okinawa.lg.jp/kenkouhou/H31/3gatsu/190301gogai6.pdf